備長炭の特性

備長炭の特性

1. 反応性が大きい

反応性とは酸化性、還元性などの性質で、無定形炭素といわれているものの中で、特に反応性が大きく、石炭コ-クス類との一酸化炭素への転換反応率は、備長炭は約57.1%、石炭コ-クスは6.8%です。炭はこのように反応性が大きいので、製鉄、金属硅素の製造などに使用されます。反応性が大きい理由としては、炭の組織構造が木材と同じように穴が多くて(多孔性)、空気を通しやすい性質(通気性)があることと、木炭組織中に微量にちらばって含まれているカリ、その他無機質成分が反応に際し、触媒的はたらきをするためです。ちなみに備長炭の内部表面積は1グラム当り250~300平方メ-トルといわれております。

2. 不純物が少ない

炭には灰分が少なく2~3%位です。そのおもな成分は、石灰、カリ、ソ-ダ、リン酸などで、特にカリ分の割合が多く、このカリが燃焼を早めるはたらきがあります。
しかし、成分中その量は、きわめて少ないので、炭を還元剤に使用しますと、不純物の少ない金属が得られます。

3. 吸着性が大きい

炭はガスや液体を吸着する性質が大きく、悪臭の除去、不純物の吸着などに使用されます。
この吸着性の大きい原因は、内部表面積が大きいことと、通気性があることで、特に目につく性質は炭には選択吸着能力があることです。
600度以下で炭化した炭(酸性炭素)にはアルカリを吸着する性質が強く、700度以上でやいた炭(塩基性炭素)には酸を吸着する性質があります。
600~700度の間に変異点があるのは、炭の電子の状態が極端な変化によるといわれております。
以上のごとく、備長炭は、硬多孔質で吸着分解性、放出性、通電性、赤外線効果等の特性を有しているので、新しい用途が開発されています。