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炭のこと
2020/05/20

木炭の効用(効能) - 燃料以外にも浄水・脱臭に

masuda
炭屋のお話

木炭は焼鳥屋、うなぎ屋や焼肉屋さんなどの飲食店で目にすることが多いと思いますが、焼き物の熱源以外にも、さまざまな用途でその特性を活かした方法で使われています。

木炭の効用(効能)

木炭には炭の焼き方によって性質がありますが、下記のような効用があります。

1 熱源(燃料)としての利用

2 水の浄化に利用

3 土壌改良用として

4 調湿・脱臭剤としての利用

5 通電特性を活かした利用

6 その他の木炭の利用

1 熱源(燃料)としての利用

炭の使い方の代表的な例は、焼き鳥や焼き肉、バーベキューの料理の熱源としての利用です。

ガス火は燃焼する時に水分が出るため、食材がカラッと焼きあがりません。
また、ガスにはガス漏れ事故防止のために臭いが付いており、これが食材に付着してしまいます。
一方、炭は水分を出さず、燃焼ガスも少なく素材の美味しさを引き出します。
さらに、遠赤外線の効果により食材の表面がカラッとし、中の水分を程よく保ったまま焼くことができます。

焼き鳥やうなぎには樫を原木とした備長炭、焼肉にはオガ粉を固めて成型したオガ炭、バーベキューには楢(なら)などの黒炭が使われています。
また日本の伝統文化の茶道でも、お茶のお湯を沸かすのにくぬぎ炭が使われています。

燃料としての炭

2 水の浄化に利用

備長炭には無数の小さな穴があり、穴の表面積は1gあたり300㎡にもなります。
この穴に不純物を吸着する特性があり、また備長炭の堅く粉が出にくいという性質と合わせ、水の浄化にも使われます。

家庭での用途としては、水道水の塩素や臭いなどを吸着し、安全・安心な飲み水を作れます。
また、備長炭からはミネラル分が溶け出し、弱アルカリ性のミネラルウォーターとなります。

炊飯時に釜に備長炭を入れるとご飯がふっくらと炊け、てんぷら油に入れると揚げ物もサクッと仕上がります。

浴槽に入れると、汚れや臭いの吸着の他、炭のカリウムにより体が温まります。街の銭湯などでも使われています。
大規模なものでは、湖・河川の水質改善にも使われています。

木炭の浄水

3 土壌改良用として

痩せた農地の土壌改良にも炭が使われます。

炭自体が肥料になるわけではありませんが、木炭の微細な穴に微生物が棲みつき働くことで、農作物の成長に繋がります。
また、炭の保水性、透水性により、乾いた土壌は潤いやすく、粘土質の土壌は水はけが良くなります。
さらに炭のもつ吸着性により土中の有毒ガスを取り込み、根の成長を助けます。

近年では農薬の使用も制限が厳しくなってきており、農地以外にもゴルフ場などの芝生育成のために使われることもあります。

大規模なものではなくても、炭は家庭菜園やベランダのプランターにも使えます。
その際は、飲料水の浄化用に使ったものや、臭い取りに使った後のものを砕いて再利用すれば無駄なく使え、環境にも良いです。

炭の土壌改良

4 調湿・脱臭剤としての利用

炭の多孔質で吸着性が高い性質を活かし、家屋の床下などに調湿用にも使われています。

吸着性に加え放出性があり、湿度が高まると吸収し、逆に周囲の湿度が低くなると水分を放出します。
カビの繁殖を抑え、さらにホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着することで家屋内の空気環境を整えます。
観光名所の京都の寺院寺、やマンション、一般家屋などの床下で、人目に付かずとも炭は活躍しています。

炭の穴がさまざまなものを吸着するという事は、もちろん臭いを取るという事でもあります。
冷蔵庫の野菜室ではエチレンガスなどの臭いの元を吸着、下駄箱では汗などから生じた悪臭や湿気を取り込みます。
その他クローゼットやクーラーボックス、小物入れの中など使用箇所はさまざまです。

木炭の調湿・脱臭

5 通電特性を活かした利用法

上記に炭には臭いや不純物の吸着、調湿の効果がある事を紹介しましたが、その他の性質に「通電特性」があります。
歴史的な発明家のエジソンが白熱電球の開発に成功したとき、その電球のフィラメントには金属ではなく、炭化した木綿を使ったと言われています。

全ての炭に通電性があるのではなく、樫を堅く焼いた「備長炭」でないと電気を通しません。
小学校の理科の実験でも、電池の代わりに食塩水を浸したティッシュとアルミホイルを備長炭に巻き付けて豆電球に灯りを点けるというものがあります。

備長炭の高電導性は、静電気の帯電を抑えることに繋がり、今後さまざまな分野での応用が期待されています。
当社では備長炭を粉砕しパウダー状にしたものを練り込んだヘアブラシを作っています。
櫛通りが滑らかで髪がまとまりやすいと好評を頂いています。

木炭の通電

6 その他の木炭の利用

日本刀を作る刀鍛冶で、燃焼温度の高い黒炭(主に松炭)が使われ、壺やお皿を作る陶芸、また鉱物を精製する際の還元剤としても利用されています。

アブラギリという木を原木とした炭は、漆器の研磨剤として使われ、伝統工芸品の作成の一端を担っています。

また、最近では炭を粉末に加工し、石けんやシャンプーに混ぜ込んだり、ケーキやパンなどを作る際に着色や吸着力を目的として使われる例もあります。

炭の還元材・パウダー利用

このように炭には焼き物料理や暖としての燃料としての使われ方だけではなく、
様々な効用があります。
木炭はその特性を生かした商品もたくさんございますし、今後も様々な分野に使われる可能性のある素材です。