茶事歳々

茶事に見る「用と美と炭」


夜 咄
腰掛待合にて

腰掛待合にも手焙と、足元には火鉢が用意されます。露地行灯とともに、赤々と燃える火鉢の炭火は、目にも客にあたたかさをもたらし、厳寒の折はつとに有りがたきご馳走です。
 腰掛待合の手焙は、客にとってもっとも手近に暖をとれるものです。
 下火から初炭、そして後炭の三炭はもとより、夜咄では寄付や腰掛待合の手焙、火鉢など、茶事の要所要所で、炭が大きな活躍をしていることがわかります。

腰掛待合

炭斗

開 炉

 茶家の正月ともいわれる十一月。炉開きの茶事では、炭斗に新しい瓢を使うのがきまりです。その年に収穫した瓢箪を切ったばかりの、真新しい瓢を用意することが、茶の新年にふさわしく清々しさを感じさせます。

床の石菖鉢

 夜咄の茶事では、後座の床に石菖鉢を置きます。
 石菖は、サトイモ科の多年草です。鉢に胴炭などを組んで石菖を挿し入れて水をはります。炭には水や空気を浄化するはたらきがあり、また石菖にも、種油や蝋燭から出る油煙を吸いとる性質があるといわれ、炭、石菖ともに、後座の空気を清めるはたらきをしているのです。まさに「用」と「美」を兼ねそなえた床飾りです。

石菖鉢

新年

新 年

新年の茶事、あるいは新席披きなどの慶事の茶事では、炭台に奉書紙を敷いて炭斗とします。角切、足付の檜の炭台に均衡よく組まれた炭は、奉書のうえで凛とした姿を呈しています。亭主も、そして客の心も引きしまる新年の炭のすがたです。


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